所有者不明の土地の利用について

つい先日(2018年6月26日)の新聞にも記載がありましたが、現在、日本では、所有者不明の土地が増えており、その面積は、九州の面積を上回る規模だとのことです。

その対応策として、一定条件のもとで土地の所有権を放棄させることを可能にする制度づくりが動き出しています。
実は、民法等の法令上、土地の所有権を放棄できるとは明記されていません。そのため、現行法令上、土地の所有者は、「明日から土地の所有権を放棄するので、私の土地ではありません。」とすることができないわけです。
これは、
① そもそも、不動産という財産をあえて放棄しようとする人などいないだろうということを前提に、法令が制定されているからだと思われますが、
② 実際には、田舎の土地等で売りたくても売れない土地や、相続時に帰属があいまいになってしまった土地、もしくは、自分で利用しようにも使いみちがなく、かえって、固定資産税等の費用負担が大変で放置され続けている土地のように、所在不明となる土地が増えてきているということかと思われます。

そして、土地の所有権を放棄できる制度を構築しようとした場合、所有権放棄された土地は、その後、誰が所有するのかを明らかにしておく必要があります。
現状では、放棄された土地を管理する受け皿の公的機関をつくる案などが検討されているようですが、制度内容が確定した際に、弁護士放送でもご紹介させていただければと思います。

なお、現行民法を前提としても、一定期間、一定の条件で土地を占有していれば、所有者不明の土地であっても、同土地を時効取得し得るということになります(土地の場合、対抗要件として登記が必要であること等の詳細は省略します。)。
そのため、仮に、所在不明土地を活用したいと考えた場合、勝手に利用を開始して当該土地の効取得を目指すということも考えられるわけですが、時効取得が成立するまでの間、当該土地を不法占拠していることになるため、このような手段をとることも通常はできないわけですね。
では。

<参照>民法162条(所有権の取得時効)
1 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

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