民事裁判IT化するってよ!

日本の民事裁判のIT化は、諸外国と比べると遅れていると言われています。
驚かれる方もいるかもしれませんが、現状(2018年7月)においても、例えば、裁判所に書面を提出する場合、FAX送信もしくは郵送でなければ受領してもらえません。一部の裁判所では、主張整理書面等のデータの電子メールでの受領に対応していますが、そもそも、外部からの電子メールは一切受信しない方針であるという裁判所も多くあるのです。電子メール送受信の対応をしていない裁判所にデータを送信する際には、CD等の媒体にデータを保存して提出する必要があるのですが、少し前だと、フロッピーディスクしか使用できないという裁判所も結構あったので、裁判所のために、外付フロッピーディスクドライブを購入せざるを得ない情況でした。
【書面提出】
・書面提出は、原則として、持参、郵送、もしくはFAX送信。
・一部の裁判所では、事実上、電子メールによる書面データ送受信に対応している場合もあり。

また、民事裁判は、原則、月曜日から金曜日の平日、午前10時から午後5時までの時間帯でなければ、裁判期日を指定してもらえません。そのため、日中は働いている方だと(そういう方が多いと思いますが)、裁判期日に出頭するためには、会社をお休みせざるを得ないということになりかねません。
今後、土日祝日や夜間の時間帯にて裁判が実施されるようになれば、とても便利でしょうか、弁護士としては、それはそれで大変だなあとも思うところです。
【裁判期日】
 ・原則として、平日月曜日から金曜日の午前10時から午後5時までの時間帯。

そして、裁判期日での対応ですが、原則は、裁判所まで出頭する必要があります。沖縄に住んでいる方が札幌地方裁判所での裁判への出頭を求められることもるわけで、その場合、出頭するだけでも結構な負担となります。
現行の民事訴訟法でも、争点整理手続等の一部の手続については、電話会議にて対応することが可能とされていますが、電話会議は、限られた範囲でしか活用されていないのが現状です。
例えば、弁論準備手続については、民事訴訟法170条3項において、「裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、弁論準備手続の期日における手続を行うことができる。ただし、当事者の一方がその期日に出頭した場合に限る。」と規定されています。
つまり、少なくとも、「遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるとき」で、「当事者の一方がその期日に出頭した」場合(原告か被告のどちらかは裁判所に出頭する必要あり)でなければ、電話会議は実施できないことになります。
電話会議での対応が認められるか否かは、個別の裁判所の判断によりますが、例えば、東京に事務所がある弁護士が、札幌地方裁判所での裁判に対応するような場合、電話会議による期日参加を認めてもらえることは多いですが、電話ですので、写真や図等を確認しての協議は困難であり、出頭せざるを得ない場合もあります。また、代理人弁護士ではなく、当事者本人が電話会議にて対応して欲しいと求めても、認められない場合が多いのではないかと思われます(おそらく、この点は、裁判所において、弁護士であれば信用するが、当事者本人の場合、電話で対応しているのが本当にその本人なのかの確認が困難であるとの事情によるのではないかと思われます。)。
【裁判期日への参加】
 ・原則として、裁判所に出頭。
 ・例外として、電話会議による参加が可能な場合もあり。

日本の民事裁判の概要は以上のとおりですが、FAXを頻繁に利用しているのに対し、電子メールの利用が限定的である等、日本のビジネス実務を前提としても、かなり遅れていると思います。
できれば、日本の裁判制度を優れたものとしていき、せめてアジア地域をリードしていきたいところですが、現状では、シンガポールや韓国に大きく後れを取っているようです。
例えば、シンガポールでは、文書の電子化やオンライン送信だけではなく、裁判所の開廷表が電子パネルで表示され審理状況がリアルタイムに表示されたり、弁護士が訴訟記録をオンラインで確認できたりするとのことですので、日本より遥かに進んでいるといえそうですね。
遅れながらではありますが、日本でも、政府の有識者検討会において提言がまとめられる等、民事裁判のIT化を進める方針で対応しているようです。
裁判所のパソコンを含む設備や業務フローの改善も含めて、やることはたくさんあると思いますが、シンガポールや韓国等の他の国の制度を参考にしつつ、信頼できる内容で民事裁判のIT化を進められるとよいですね。
では。

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