第009回 所有権(神聖不可侵な絶対的権利)と日照権(快適な環境を享受する権利)の相反関係

皆様のお住まいは、陽あたり良好ですか? 陽の光が差し込む明るい部屋で生活するのは気持がいいですし、洗濯物もよく乾くので、できれば陽あたり良好な家に住みたいですよね。 ある日突然、自宅前に高層建築物が建築され、今まで陽あたり良好だった部屋に、一切、陽の光が届かなくなったとしたら、とても嫌な気分になります。 また、「10年で投下資本を回収できるよ。」との説明を信じて、自宅屋根に太陽光発電パネルを設置したけれども、設置から1年も経過しないうちに高層建築物が建築され太陽光発電パネルに陽の光が届かなくなってしまったら、とても腹立たしいですよね。 では、このような場合、「陽の光が届かなくなるから、建物を壊せ!」と要求できるのでしょうか。 今回は、日照権に関するお話です。

自宅に陽の光が届いていたにもかかわらず、その後にマンション等の高層建築物が建築され日光が遮られてしまうのは、理不尽であるとも考えられます。
ただし、自宅隣地で高層建築物を建築した人は、本来、隣地の所有者として、所有権に基づいて何をしてもよいのが原則です(所有権の絶対性)。
良好な陽あたりを絶対に確保したいという場合、お金のある方であれば、広大な敷地を購入し、その敷地の真ん中に自宅建物を建築することが可能かもしれません。
しかし、通常は広大な敷地を購入することは困難ですので、仮に、自宅建物周辺に建物が存在しないため、建物に陽の光が届くとしても、それは、たまたま、隣地の他人が土地を利用していないからにすぎないのです(隣地の他人が高度利用をしていないことによる反射的利益にすぎないということです)。
では、所有権の絶対性に基づき、何をしてもよいのかというとそうではなく、例えば、嫌がらせ目的で、あえて、隣りの建物に陽の光が届かない形状の建物を建築した場合等、やりすぎてしまうと、隣人に対して損害賠償義務を負ったり、または、建物の建築の中止を求められたりすることになります。
この点については、最高裁判所昭和47年6月27日判決において、受忍限度を超える程度まで日照を阻害された場合には損害賠償請求が可能であると判示されていますし、下級審の判例も多数ありますので、興味のある方は確認してください。
なお、従来は、窓等の開口部に陽の光が届かなくなることが主に問題とされていましたが、最近では、設置した太陽光発電パネルに陽の光が届かなくなることが問題となることも多いです。
基本的には、建築基準法上の日影規制等を遵守し適法に建物が建築される限りは、建物建築に違法性はない(受任限度の範囲内)と判断される可能性が高いものと考えられますので、太陽光発電パネル設置を検討している方は、法律上、自宅付近の土地にどのような建物を建築することが可能であるのかを確認しておくことが望ましいといえます。

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