最近では、FacebookやTwitter等のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が普及しているため、誰もが気軽に、自らの意見・主張等の情報をウェブ上で公開することができるようになりました。
ただし、悪意をもって根拠なく第三者の悪口をウェブ上で公開するような場合には、第三者の名誉を毀損したとして、損害賠償義務を負うだけではなく(被害者である第三者に発生した慰謝料等の損害額を支払うこと)、刑法上の犯罪行為として刑事責任を負うこともあります。
このように、誰もが気軽にウェブ上で情報を公開できるようになったのですが、ウェブ上で情報を公開したことにより誰かの名誉を毀損したと評価される場合には法的責任を負うことになるため、今回は、名誉毀損とは何か、どのような場合に名誉毀損が成立するのか等についてご説明致します。
なお、例えば、2ちゃんねる等の電子掲示板に匿名で書き込みを行った場合であっても、同書き込みを行った者の氏名・住所等が特定可能な場合もありますので、匿名での書き込みであっても他人の名誉を毀損しないように注意をする必要があります。

一昔前であれば、新聞やテレビ報道等を活用することができる極限られた者のみしか世間に向けて情報発信を行うことができませんでしたが、ウェブ上であれば、誰もが自由に情報発信をすることができるようになりました。
これは、多数決原理を基礎とする民主主義においては非常に重要なことです。なぜなら、少数派の意見が広く世間に情報発信される仕組みが存在しなければ、民主主義においては、情報発信を行うことが可能な限られた者の意見は尊重されるものの、少数派の意見が軽視されてしまうおそれがあるからです。
もっとも、FacebookやTwitter等の既存のSNSだけでは少数派の意見を十分に公開することができないとの問題があるかもしれませんが、いずれにせよ、ウェブ上で自らの意見や主張等の情報を公表するとの行為は、憲法上の表現の自由として保護された重要な行為なのです。