コロナ禍の飲食店等に対する営業自粛要請で、営業の自由への関心が高まっています。そもそも、営業の自由とは、何なのでしょうか?
営業の自由は憲法に書いてある?
職業に関する憲法の規定は、22条1項にあります。第22条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。という文言を、一度は目にしたことのある方も多いかと思います。
ここには、「職業選択の自由」という言葉がありますが、営業の自由という言葉はありません。他の条文をあたっても、営業の自由という言葉自体は、憲法に書いていないのです。
営業の自由はどうして保護される?
営業の自由は、職業選択の自由に含まれる、と理解されています。厳密な議論は、専門書に委ねますが、職業を選択した後、実際にその職業人として営業することを保護しないと、職業選択の自由を保護した意味がないから、というイメージです。
では、営業自粛要請は許されない?
営業自粛要請の適法性は、とても難しい論点です。そもそも、営業の自由への保護は、職業選択の自由への保護に比べると、弱くてもよいと考えられています。職業選択は、その職業人として活動する入口であり、入口を制限されてしまうと、もうその職業人になることはできません。しかし、営業活動を少し制限したからといって、ただちに、その職業人として活動できなくなるわけではないことが殆どです。
つまり、職業選択の自由を制限することと、営業の自由を制限することでは、不利益の程度が大きく異なります。とはいえ、言うまでもなく、営業の自由が大きく制限されれば、職業経営が困難になってしまいます。どこまで、営業の自由を制限してもよいのかという問題は、こうした事情から、結論づけることが難しいのです。
まとめ
営業の自由は、憲法22条1項の職業選択の自由の内容として保護されます。しかし、営業の自由をどこまで制限してよいかは、とても難しい問題です。これを読んだ貴方は、営業の自由はどこまで制限してよいと考えるでしょうか?そうして考えながら、コロナ禍のニュースに目を向けていただくと、貴方なりの、興味深い考えが生まれるかもしれません。