2018年7月15日、夏です。
暑いですね。セミも鳴いています。ヨシカワは、基本、虫は苦手ですが、今年こそ、生きたセミを手でつかまえたいですね。
さて、ご存知の方も多いと思いますが、2018年6月13日、成人年齢を18歳に引き下げ、女性が結婚できる年齢を16歳以上から男性と同じ18歳とする民法改正案が可決されています。この改正法の施行は、2022年4月からです。
ところで、そもそも、成人年齢は、どの法律で決められているかご存知でしょうか。
民法4条は、以下のとおり規定しています。
(成年)
民法4条 年齢二十歳をもって、成年とする。
改正法では、この民法4条の20歳が18歳に改正されるわけですね。

そして、民法では、成人年齢に達していない場合、つまり、未成年者の場合、法律行為をするには、原則、法定代理人の同意を得なければならず、法定代理人の同意を得ないで行った行為は取り消すことができるとされています。
要するに、未成年者は、親の同意がなければ、お金を借りたり、住宅を購入したりといった法律行為ができないことになります。
あれ、「子どもの頃、よく、お小遣いで、お菓子を買ったり、マンガを買ったりしていたよ。親の同意なく、買っていたよ。」と思う方もいるかもしれません。親の同意は、原則必要とされているのであって、例えば、お小遣については、民法5条3項の法定代理人(親)が「目的を定めないで処分を許した財産」に該当することから、未成年者であっても、自由にお小遣いを使えるということになるわけです。
(未成年者の法律行為)
民法5条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

なお、年齢による規制については、民法だけが規定しているわけではありません。
例えば、公職選挙法において、公職選挙の選挙権年齢は、従前20歳とされていましたが、18歳に引き下げる法改正が行われています。また、旅券法の改正により、今後、10年パスポートを取得できる年齢が18歳まで引き下げられることになります。
ただ、たばこやお酒を嗜むことができるのは、引き続き、20歳以上の方のみですので、この点はご注意ください。

【まとめ】
・民法の成人年齢は18歳まで引き下げ→18歳以上であれば、親の同意なく法律行為ができる
・男性も女性も、結婚できる年齢は18歳以上
・民法以外にも、公職選挙の選挙権年齢の18歳までの引き下げ等、規制年齢の引き下げを内容とする法改正が行われている
・20歳未満の方に対する飲酒や喫煙の禁止は継続

このように、民法改正が成立しましたので、2022年4月以降、18歳以上であれば、親の同意なく、契約締結行為ができるようになるわけですが、これについては、根強い反対があります。20歳前後の方を被害者とする消費者被害が多いこと等の事情から、単に、成人年齢を引き下げただけでは、消費者被害が増えるというデメリットが大きいというわけです。
たしかに、上記のようなメリットはあるのかもしれません。
そのため、消費者庁・文部科学省等は、自治体や学校関係者に消費者教育を実施するよう促しているとのことであり、高校において消費者トラブルに関する授業の実施等の対策が行われていくものと思われます。

自分が18歳だったころを思い返すと不安なところもありますが、18歳といえば、大学生になったり、就職して働き出したりする方が多い歳です。
大学生になれば親元を離れて一人暮らしをする学生も多いでしょうし、その場合に、居住先確保のための賃貸借契約や携帯電話の利用契約等、全てに親の同意が必要となるのも現実的ではないようにも思いますので(働いている方であれば、なおさらです)、個人的には、成人年齢を18歳に引き下げることでもよいのではと思うところです。
ただ、自分が18歳だったころのことを考えると、学校で消費者トラブルについての授業を真面目に聴くとも思えず、学校の授業等だけでは、対策は不十分だとも思わるところですが。
では。